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ツナミ

 東南アジアの大地震ですっかり「ツナミ」が有名になってしまった。ちなみに「タイフーン (Taifun, -r) 」は日本語の台風が語源ではなく、中国語の「大風 (tai fung) 」が英語に借用されて「typhoon」となり、それがドイツ語で「Taifun」になったということらしい。てっきり日本語から借用されたと思っていた単語なのでこれにはちとびっくり。

 ま、それはいいとして、上の単語はどちらも男性名詞なのである。Taifun のほうは、fung = Wind, -r (男性名詞) = 風なので、Taifun が男性名詞とされたのもわかる。こういう風に元々ある言葉に関連させて外来語から借用した名詞の性を決めることはよくあることなのだ。例えば、英語の story はドイツ語で使われる場合は女性名詞なのだが、これはドイツ語の Handlung (あらすじ)や Geschichte (お話)といった女性名詞と関連付けてやはり女性名詞にされたのだと思われる。

 だがこと「ツナミ」に関してはその関連性が不明なのである。そもそも日本語の「津波」とは、「集まった波」みたいな意味で、そこから考えるとドイツ語の「波 (Welle)」は女性名詞なのだから、「ツナミ」も女性名詞とされるべきではないのかと考えたくなる。あるいは、外来単語や新語をニュートラルなものとして見た場合はこれを中性名詞として分類する場合もある。(中性名詞扱いされている E-mail その好例。尤もこれはドイツでは女性名詞とされているのだが。)その場合、「ツナミ」は中性でもおかしくないと思うのだが、なぜよりによって男性名詞にされたのだろう……? すごく不思議。Duden 辞書をあたってみれば「Hochwasser (洪水、高潮)」と同義とされているが、そうであれば中性名詞である「Wasser」に関連付ければいい話だし……。何か津波、洪水、大水関連で男性名詞ってあったっけと色々考えてみるのだが、何も思いつかない。
by hwien | 2005-01-04 02:00 | ことば


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