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翻訳不可能

2004年12月7日付プレッセ
"Her mit den Redewendungen - bis sie sich winden vor Schmerz": Die Unübersetzbare?
(言い回し色々で頭をかきむしるほど。 翻訳は不可能なのか?)

 今年のノーベル文学賞を授与されたエルフリーデ・イェリネクの作品が翻訳不可能かどうかについて論じている記事。私自身はイェリネクの文章そのものを読んで理解することができないので、自分自身では彼女の作品について云々することができない。読もうとしたことはあったが、散文(らしき文章)からして難解で(さすがノーベル文学賞受賞者)、結局イェリネクの書いた文章は全然読んでいないのである。

 ただ以前FAZの編集長だか何だかをしていたというフランク・シルマッヒャーのインタビューをいつぞや読んだ時に、シルマッヒャーもまた「イェリネクの文章は翻訳できないものなので、どうせならもっと翻訳に向いている作品を書く作家にノーベル賞を授与したほうがドイツ語圏文学全体の興隆につながってよかったのではないか」と語っていて、そんな考え方もあるのかと少しびっくりしたおぼえがある。

 ま、それはそれとしてイェリネクの作品だが、翻訳不可能と言われながらも日本語のほかにも既に英語やチェコ語などにも訳されているし、今回のノーベル賞を機にもっと色々な言葉に訳されていくだろうとのことである。
 イェリネク自身は、「自分の書く文章はオーストリアのドイツ語をぺったんこに押さえ込んでその中身が飛び出してきたところに言葉遊びを詰め込む」というようなことを語っていて、従って同じドイツ語圏でもドイツですら自分の作品は理解されにくいのだから、況や翻訳をやとか何とか言っている。

 こういったコメントに対し、「翻訳に不可能はない」と言い切る柳瀬尚紀氏(著書: 翻訳はいかにすべきか)だったら何と言ったりするのかななどと考えてみたりもするが、不肖の身には結局のところ翻訳に不可能があるのかないのか、さっぱりわからない。まぁ原文そのものを読んで理解する力がないので、私がイェリネク作品の翻訳の可能性について語ったりししょうとするのが土台無理な話なわけであるのだけれど。

その他イェリネク女史がプレッセに寄稿した記事へのリンク:
2003年11月22日 Was ich lese (私が今読んでいる本)
2003年12月30日 Otto Breicha: Schreiben müssen (オットー・ブライヒャ: 書く)
2004年5月8日 Der Joker (ジョーカー)
2004年8月5日 Literatur: Hören Sie zu! (文学: お聞きなさい!)
2004年10月9日 Der faule Denkweg (怠惰な考え方)
by hwien | 2004-12-26 00:48 |


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