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ヒットラーのユダヤ兵たち

11月6日付プレッセ日曜版 Spectrum
In falscher Uniform (ナチスの制服を着て)
アンナ=マリア・ジークムント (Anna Maria Sigmund)

 ナチス政権下における女性をテーマにした本を多く書いている著者による、これまたナチスをテーマにした本の書評。

 本の著者はブライアン=マーク・リッグというユダヤ系アメリカ人なのだが、ある時ドイツで『僕を愛したふたつの国/ヨーロッパ ヨーロッパ 』という映画を見た。これはソロモン・ペレルという人物の体験を映画化したもので中々面白い映画である。一家でナチスから逃れてポーランドまで逃げたが結局捕まってしまったソロモン少年は、パスポートを捨て、自らをドイツ人だと偽る。少年のドイツ語がペラペラだったので兵士たちはあっさりとそれを信じ、ソロモン少年はなんとヒットラーユーゲントに入れられてしまう。(しかしユダヤ人の彼は割礼されているので、何かあるたびに局部を隠して色々大変であった。)そのソロモン少年が終戦を迎えるまでの経験が描かれている映画が、『僕を愛したふたつの国/ヨーロッパ ヨーロッパ 』なのである。

 さて、この映画を見たリッグの隣に座っていた人物が、このソロモン少年とほとんど同じような体験をしたと映画の後にリッグに語り、その体験の類似性にリッグは大きな興味をおぼえる。
 そこで第二次世界大戦中にドイツ国防軍に属していたユダヤ人を探してみると、少なからぬ数のユダヤ人が強制収容所に入れられることなく軍隊でソ連や連合国を敵にまわして戦っていたことがわかり、リッグは聞き取り調査を開始した。その調査をまとめた本が2年ほど前にアメリカで出版され、このたびそのドイツ語訳が出るのだそうである。

 非常に興味深い。しかし440ページもあるそうで、読み始めるにもちょっとした覚悟がいりそうだ。

Brian Mark Rigg
Hitlers jüdische Soldaten (ヒットラーのユダヤ兵たち)
by hwien | 2004-11-08 03:04 |


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